進相コンデンサと直列リアクトルは、高圧受電設備の主要構成装置の一つである。過去10年間では 15回出題されている(接地工事を含む)。
進相コンデンサと直列リアクトルは設置目的・機能が互いに関連しあっているが、この記事では直列リアクトルに絞って解説する。
直列リアクトルSRのポイントは
- 進相コンデンサに流れる突入電流の抑制
- 高調波の発生を抑制
SRには、安全圏狙いの項目として”容量”がある。これは、SRの安全圏狙いの記事で解説する。
直列リアクトルの重要ポイント
名称
直列リアクトルの英語名称は Series Reactor、略して SR。
英略記と回路図記号
英略語と回路図記号は、それ単体で覚えるのではなく、単線結線図を手書き練習するときに、一緒に覚えること。
外観と端子数
高圧進相コンデンサSCのその直上流にある円形の変な形の記号が直列リアクトル。
進相コンデンサ SC のところでも少し触れたが、試験では進相コンデンサと同様に、外観写真がよく出題される。
外観で進相コンデンサと大きく異なるのは、装置上部にある端子数。
直列リアクトルは回路の途中に接続される(下流に進相コンデンサ)ため、端子は入力3、出力3の合計6端子ある点。
この端子数は複線図でも納得しておいてほしい。
コイル3つが並列(平行?)に並んだ構成。
そして、そのコイルから上下にそれぞれ入力端子3、出力端子3、計6端子。
関連問題
・2019年問22(SRの外観と用途)
・H28年問23(SRの外観と用途)
・H25年問49(SC と SR の外観)
・H23年問22(SR の外観と役割)
進相コンデンサに流れる突入電流の抑制
あなたは、スマホの充電器とかの電気機器をコンセントに差し込んだ瞬間に、一瞬ぱちっと火花が出るのを見たことはあるだろう。
あの火花は一瞬大電流が流れることによって発生しているが、その大電流が流れる原因の一つがコンデンサの存在。空のコンデンサめがけて突入電流が流れ込む。
この突入電流、実は高圧受電設備でも開閉器を閉じて進相コンデンサを高圧電路に接続する瞬間に、開閉器を通って進相コンデンサに流れ込む。この突入電流は、コンデンサや受電設備にはあまりよろしくない。
そこで、突入電流を減らすために、開閉器と進相コンデンサの間に直列リアクトルを挿入する。
これが直流リアクトルを受電設備に設置する目的の一つ。
関連問題
・H30年問48(SRの用途)
・H27年問47(リアクトルの用途・機能)
・H24年問23(進相コンデンサ)
高調波の発生を抑制
電力線に高調波が流れると、電圧波形が歪んで機器・装置に悪影響がでたり、騒音が発生したりする。このため高調波を減らすことが必要。
この高調波を低減することが直列リアクトルを接続する目的の一つ。
コイル L とコンデンサ C で LCフィルタ回路を構成し、周波数の高いノイズ(高調波)を抑制する。
関連問題
・2019年問22(SRの外観と用途)
・H28年問23(SRの外観と用途)
・H27年問47(リアクトルの用途・機能)
・H23年問22(外観と役割)
高調波の発生源
高調波の抑制とともに、試験問題に出題されるのが高調波の発生源(例:H30年問21)。
発生源となる機器はスイッチング動作や放電を機器。代表的なものが、半導体スイッチを利用した
・整流装置
・インバータ
・UPS(無停電電源装置)
また、アーク放電を起こすアーク炉などである。
関連問題
・H30年問21(高調波の原因)
・H22年問20(高調波の原因)
まとめ
直列リアクトルの重要ポイントの次の通り。
- 進相コンデンサに流れる突入電流の抑制
- 高調波の発生を抑制
類似・関連問題